順送型にて絞りを行うために、ブランクを作る工程が必要になります。そのブランクを作り、尚且絞りのクッション(引張られるためのゆとり)を作る代表的な方法にアワーグラスとランスリットがあります。お互いにメリット・デメリットがありますが、今回はコスト面でランスリットを選択しました。ランスリット定番のトラブルでヒゲバリがあり、要因は金型の機構考え方で色々ありますが、今回のヒゲバリは第2絞りのシワ抑えとダイにランスリット部の重なりが挟み込まれることで発生していることがわかりました。本来の設計では第1絞りで絞り製品が引張られることで、ランスリット同士が離れるので重なり挟み込まれることはない想定でしたが、ドーム状の絞りでフランジ部が長い(つばの長い麦わら帽子形状)のでランスリットを想定より引張れないことで重なり、ヒゲバリトラブルが起こりました。解決方法はシワ抑え(ストリッパ部も含む)とダイによるランスリット部の挟み込みを防げばトラブルは解消できるので画像のように逃げの追加加工を行い解決します。想定できるトラブルの対策は金型に十分盛り込んでいるつもりで設計していますが、過剰にならないこともコストバランスがあるので重要なことだと思います。しかし今回は想定できる対策を全て施していれば回避できるトラブルとなりました。
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